
株式会社OUTSENSE
株式会社OUTSENSEは、「折り紙工学」を活用した「宇宙建築」を築き、人が月面で居住する世界の実現を目指す宇宙ベンチャーです。コアメンバーは代表取締役 / CEOの高橋さんを筆頭に、取締役 / CDOの堀井さん、そして取締役 / CTOの石松さんの3人。それぞれの専門分野で力を合わせながら、「折り紙工学」の技術で新たな道を切り開いているのです。
「宇宙建築」への興味から偶然集まったメンバーたち

株式会社OUTSENSEのメンバーは、「宇宙建築」という学問分野を起点に、数々の偶然が重なり集まりました。あまり聞きなれない「宇宙建築」という言葉。最近では日本でも、民間で宇宙空間にロケットを飛ばそうとしているベンチャーが企業存在します。そして世界に目を向ければ、まだ大変高額ではありますが、宇宙旅行サービスが既に提供されているのです。そのような情報に触れていると、「月面に居住」することも近い将来実現可能なのでないかと思いますよね。
しかし、現在から遡ること40年程前。1980年代には、既に人の月面居住に現実味があったのです。なんと、その頃建設関連企業が「宇宙建築」に関する新規事業を行っていたのです。ただ、そういった流れは一時的で、バブル崩壊と共に薄れていき、いつしか世の中は「宇宙建築」に対する熱を失っていったのです。
株式会社OUTSENSEのメンバーが出会ったのは、その時代に立ち上げられた「宇宙建築の会」でした。「宇宙建築の会」は、有志達が「宇宙建築」の実現を夢見て脈々と受け継いできた団体。この団体には、現在株式会社OUTSENSEの技術顧問を務める、東海大学の十亀准教授も所属していたのです。

元々メンバーは、同じ大学に所属していたわけではありません。メンバーが個々に「宇宙建築の実現」という共通の夢を追いかけることによって出会い、一人、また一人と徐々に集まっていったそう。そして彼らは、同じ夢を追いかける学生達の活動拠点として「宇宙建築学サークルTNL」の立ち上げに至ったのでした。このTNLは、「宇宙建築」を志す学生たちの受け皿として代々受け継がれながら、現在も運営が続いています。

自分達で実現しなければいけない。壮大なビジョンを掲げて起業
「宇宙建築学サークルTNL」の活動を通して、学生たちに「宇宙建築」の魅力を伝えてきたメンバーたち。
その中で高橋さんは大学の修士課程に進み、学外の活動を通して本格的に「宇宙建築」に携わっていく道を模索していました。しかし、同時にある不安を感じていたそう。それは、世の中が「宇宙建築」に対してあまり盛り上がってないという現実。このままでは、実現できないかもしれない。そういった葛藤から、高橋さんは自ら「宇宙建築」を実現させるべく、起業の道を選んだのです。その想いに堀井さん、そして石松さんが賛同し、株式会社OUTSENSEが誕生しました。

学生から起業の道を選んだメンバーたち。社会人経験がなかったこともあり、運営に関してはメンバー間の衝突も珍しいことではなかったそう。思考錯誤を繰り返しながらお互いを理解しあい、現在の体制ができあがっていったのです。そのような中、彼らにはいくつかの大事なターニングポイントがあったのでした。
自力で何とかしよう。悪戦苦闘が飛躍のきっかけに

株式会社OUTSENSEのメンバーたちが「宇宙建築」の実現に向けて飛躍したきっかけ。それは2019年3月、アメリカのテキサス州で毎年行われるスタートアップの祭典「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」への出展です。スタートアップ企業の支援プログラムでの入賞で出展チャンスをつかんだメンバーたち。しかし、展示物の製作費、輸送費と数人分の旅費は支給されないため、足りない資金をどうにか自分たちで稼ぎ出すしかありませんでした。そこで目を付けたのが「クラウドファンディング」。メンバーたちはキックオフイベントを実施して、クラウドファンディングを開始。しかし、予想に反して当初資金が全く集まらなかったそう。ただ、これは「サウスバイサウスウエスト」への切符がかかったクラウドファンディングなので、諦めるわけにはいきません。彼らは知り合いに手分けして電話するなど、資金を集めるための泥臭い活動を行いました。そして、ここが運命の分かれ道だったかもしれない、目標金額へと到達したのです。
しかし、問題はこれだけではありませんでした。展示会の出品物は自分達でつくらなくてはいけません。今まで本格的なものづくりを経験していなかった彼らですが、この「サウスバイサウスウエスト」への出展を通して、ゼロからものをつくっていく経験も積んだのです。

そして現在、彼らの「ものづくり」はさらにレベルアップしています。きっかけはオフィスの移転でした。彼らにとって「ものづくり」の師となる株式会社サンケイエンジニアリングの土場さんとの出会いがあったのです。土場さんからは道具の使い方から、製造技術に至るまで、「ものづくりのイロハ」を叩き込んでももらったそう。学生から企業し、何もないゼロの状態から、現在大手企業との共同研究まで行うベンチャー企業へと成長してきた株式会社OUTSENSE。彼らは、多くの価値ある出会いを重ね、そして試練を乗り越えてきたからこそ、今があるのです。
株式会社OUTSENSEの原動力は楽しむこと

株式会社OUTSENSEが目指す世界。それは「宇宙建築」が実現され、多く人が月面を含む地球外に居住できることです。それは、気の遠くなるような、長い道のり。
実現へ向けた歩みの原動力となっているのは、根幹技術である「折り紙工学」を、彼らが純粋に楽しんでいること。「折り紙工学」で、どのようなことが実現できるのか、常にワクワクしながら研究開発をしているそう。

「折り紙工学」の理論は専門的で複雑です。しかし、目でみることができる動きや形状は、直観的で面白く、美しいのです。

株式会社OUTSENSEは、これから世の中にどんなインパクトをもたらしていくのか、とても楽しみなベンチャー企業です。