作品紹介

優しい香りや触れたときの心地よさ。多くの人が畳にはどこか懐かしい感覚を抱くのではないでしょうか。
そんな畳がより身近な存在として生活の中へ馴染むように考えられたのが松葉畳店のZAKKAシリーズ【Bookcover】です。
畳が一方向だけに曲がる性質を活かし、創意工夫を重ねて本を包み込む形状を実現。
畳の素材である藺草がもつ吸湿効果で大切な本を湿気から守ります。さらっとした手触りが、読書時間をより心地よいものに。
天然素材でナチュラルな雰囲気のあるゴザ部分と、スタイルを引き締めるヘリ部分の絶妙なバランスをみてください。
日本で昔から受け継がれてきた畳文化。なぜ松葉畳店では畳を活かした雑貨を制作しているのか。店主の謙さんと藺草クリエイターの知美さんご夫婦に話をうかがってきました。
「無くなってしまうかもしれない」そう思って初めて気づいた大切さ。

知美さんの実家は1977年から静岡県焼津市で地域に根差した畳店を営んでいます。
知美さんはそのような環境で畳をごく当たりまえの存在として育ちました。小学校の卒業アルバムには「将来は女畳屋になりたい」と書いていたそうで、お父さんの職人姿に
幼いながらカッコよさを感じていたようです。実家が畳店であることをどこか恥ずかしく思う多感な時期もあったそうですが「自身で一人暮らしをはじめる時には自然と畳の部屋を選びました」とおっしゃるように、知美さんにとって「畳」は感覚的なところまで染みつく自然な存在だったのです。しかし、幼少の頃からあって当たり前の「畳」ですが、社会人となって不動産業界に身を置くと、世の中で「畳」の需要が減少していることを肌で感じていました。
結婚や出産と時を経ていく中で「この畳店は誰かが継がなくてはいつか無くなってしまう」という事実に直面した知美さん。想像するだけでとても寂しい気持ちになったそうです。
畳業界が直面している厳しい現実。

畳業界は今大変厳しい現実に直面しています。
畳の原材料である藺草を生産している農家さんが「高齢化」に直面しており、平成元年には4,500件あった藺草農家さんは、現在400件を割ってしまっています。国産の藺草にこだわりをもっている畳店さんも多いそうで、原材料が手に入らないことからやめてしまうことも。そして「畳」自体の需要減少。こういった厳しい現状から、藺草農家さんも畳店さんも後継者を受け入れられないのです。何もしなければ日本の畳文化そのものが無くなってしまう。知美さんは「現状を何とかできないか」という想いから畳業界に飛び込みました。ここから「自分ができること何か」を模索する日々が始まったのです。
自分自身の体験から見出せた、未来にも必ず残っていく「畳」の価値。

不動産業界に身を置いていた知美さんは自身が家を建てるときにリビングを畳にしようと
考えたそうです。幼少のころから「畳」が当たり前に存在であった知美さんにとっては
ごく普通のこと。しかし謙さんは「リビングを畳にしてかっこよくできるイメージが湧かない」と大反対だったようです。

そこから、謙さんが持ち前のセンスを活かし「フローリングから意識しないで入っていけるように、畳の境界を無くしてみてはどうか」と、畳をひとつの床材と捉えた新しい試みを発想しました。そして、完成したリビングではモダンと和の温かみが見事に融合した新しいスタイルをうみだしたのです。訪れたお友達からも好評だったそう。このマイホームをつくるという一大イベントでお二人が共創したことから、畳の未来に通じる価値が光り始めました。
「畳をもっと身近な存在に」という想いからうまれたZAKKAシリーズ。

松葉畳店を受け継ぎ畳業界に飛び込んだ知美さんでしたが、自身が何をしていくかはゼロから模索していったそうです。
「畳の原材料である藺草をもっと身近なものに活用する」ことを考えた知美さん。
まずは【しめ縄飾り】の制作から活動をスタートさせました。完成したものを友達にプレゼントしたところ「すごく香りがいい」と評価は上々。そんな中、知り合いからマルシェへの出店に誘われたことが転機になりました。
「普段使うものを藺草でつくって、販売できなかと色々試作しました」とおっしゃるように、ZAKKAシリーズは普段から藺草に触れてもらい、もっと多くの人に良さを知ってもらいたいという想いからうまれました。今では想像もつきませんが知美さんはミシンの初歩的な使い方を一から学んだのです。
制作は「自分が欲しいと思うものをまずはつくってみる」というスタイルで、つくったものに対して家族やお客さんから意見をもらいながらブラッシュアップを重ねていくそうです。このようにZAKKAシリーズは色々な人との関わり合いの中で、試行錯誤を重ねながら現在のラインナップになっていったのです。

「僕と出会う前に、畳のことを改めて考えたことはありましたか」と謙さんがおっしゃるように、とても身近な存在である畳ですが実は知らないことも多いもの。
ZAKKAシリーズをきっかけとして、畳づくりに関わっている人々の想いがお客さんに伝わることがとても大事なのです。
藺草農家さんの気持ちがすごく好きです」と知ればしるほど深まる畳の魅力。

松葉畳店を切り盛りする謙さんですが、店主として現在の心境に至るきっかりけがありました。
一足先に松葉畳店を引き継いだ知美さんはマルシェへの出店でZAKKAシリーズを販売していました。
知美さんのサポートで商品や什器の運搬を手伝っていた謙さんは、徐々に接客をするようになっていったそうです。そいった中で、お客さんへ商品の説明をするために畳や藺草について学んでいったのです。

そして気がつけば、自身も畳や藺草の魅力にどっぷりと浸かっていたそう。
「藺草は1年に一回しか収穫ができないのです。台風などの自然災害があった場合、その年の収穫がなくなってしまうという大きなリスクがあります。農家さんは、そういったことを受け入れながら誇りをもって藺草を育てているのです」
謙さんは藺草農家さんの想いに感銘を受けました。
農家さんがイ草を育てていくことの苦労を知っていく中で「こんなにいいものが売れないわけがない」という考えに至ったそうです。
「黙っていてうまくいく商売ではないことは重々承知していました。けれど、一生懸命がんばっていて悪くなるはずないですよね」という言葉通り、畳を次世代へ伝える決意で飛び込んだのです。
「軽い気持ちで一緒にやろうといっていたら、本当に突然仕事を辞めてきてびっくりしました」と最初は戸惑った知美さん。
しかし「普段石橋を叩いて渡るタイプなので、しっかり考えての行動だと思いました」
と、すぐに前向きな気持ちになったそうです。
当時根拠は無かったそうですが、お二人は自信と期待をもって力強く新たな道を歩み始めました。
関わる人の気持ちを大切にしたものづくりをしていきたい。

畳は藺草という植物からつくられているからこそ、原材料をつくる人々と商品をつくる人々の想いが繋がっているのです。
「リスクを承知で誇りをもって藺草を育てている農家さんや、大事な藺草で丁寧に畳をつくる職人さんのがんばりも商品価値としていかに伝えていくかが重要です」とおっしゃる謙さん。
藺草を使ったものづくりワークショップでお客さんと過ごす濃度の濃い時間を大切にしています。時間がかかっても地道に発信していくことが大切なのです。
「静岡では畳もお茶も当たり前のものでした。今まで当たり前過ぎて目を向けられていなかったからこそ、丁寧に良さを伝えていこうと思っています」
最近ではお二人の発信を目にされる方が徐々に増えてきているそう。和室を洋間にリフォームするのではなく、畳を活かしたリフォームができないかといった問い合わせがくることも。
「伝統を守りながら進化させること」が今畳業界に求められているのです。
お二人に初めてお会いしたのは、都内で開催されていたマルシェでした。ZAKKAシリーズのデザイン性も際立っていましたが「自分が楽しんでいることがお客さんに伝わればよいと思います」と知美さんがおっしゃるように、お二人がとても楽しそうにお客さんと会話されていた姿がとても印象的でした。
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返品について
商品に欠陥がある場合を除き、基本的には返品には応じません。
販売元
松葉畳店
- 作品情報(仕様)
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- サイズ:H16cm×W11cm×B1.5cm(文庫本用サイズ)
- 素材:国産イ草・畳べり
- 取扱注意:撥水加工をしましたが時間が経つにつれて効果が薄れることがございますが、風通しの良い場所で乾かして頂きご利用くださいませ。