作品紹介

しっかりとした実用性がありながらも、ユニークでかわいらしい。
誰もが直観的に感じることができるビジュアルと機能を併せ持ち、自然と引き込まれてしまう魅力的な商品である【Hiragana】。
実は、NPO法人ディーセントワーク・ラボが取り組む障害者就労支援活動の一環であるequaltoとデザイナーの小高さんとの共創でうまれたプロダクトです。
プロダクト開発ストーリーをデザイナーの小高さんと、NPO法人ディーセントワーク・ラボの本木さんにおうかがいしてきました。
【ひらがな】と【障害者就労支援】の優しいイメージが結びつく。
小学生になったばかりの子供でも読み書きできる【ひらがな】。誰しもが普段当たり前のように使っている文字ですが、改めて考えたことがあるでしょうか?
小高さんは「丸みのある形から感じられる柔らかさをプロダクトとして表現できないだろうか」と想像していたそうです。【ひらがな】が文字として以外の機能性をもって世の中に溶け込んでいけば、きっと優しい気持ちになれる人が増えるはず。そんなことを思い描きながら生活していたとき、偶然、equaltoとの出会いがあったのです。
equaltoの活動である【障害者就労支援】と【ひらがな】が醸し出す優しいイメージが
小高さんの頭の中で混ざり合いました。
【ひらがな】をモティーフにしたプロダクトデザインで、equaltoの活動を支援できるのではないかと想像を膨らませていったのです。
「一筆書き」のアイディアがプロダクトをより魅力的に。

最初は【ひらがな】をモティーフにしたオーナメントを発想した小高さん。
しかし世の中に【ひらがな】が広がっていくイメージは、商品として多くの人に使ってもらわなくては実現できません。何か機能性をもたせなくてはいけないという考えに至ったそうです。そこで、小高さんは【ひらがな】の形状から「箸置き」を連想しました。
equaltoの商品をつくっている施設には、製造設備や扱う素材にそれぞれ特徴があります。
その中に偶然「陶磁器」の製造を行う施設がありました。こうして小高さんの頭の中では「陶磁器」の素材である粘土が【ひらがな】の形をした「箸置き」になっていったのです。
ハンデキャップを持つ方々が生産することを前提にしたプロダクトのため、できるだけ簡単な製造工程にする必要があります。ここで最大の特徴である「一筆書き」の発想がうまれました。
製造工程ではまず粘土を棒状に伸ばします。それを文字の形になぞりながら形づくっているのです。この小高さんのアイディアによって、パーツはひとかたまりの形状になり、作りやすさだけでなく、製品としての強度も増したのです。
試行錯誤の中で磨き上げられた「ひらがな」のイメージ。

プロダクトが完成するまでには、【ひがらな】をすべて一筆書きで表現するための思考錯誤がありました。まず小高さんは平面で表現してから、それを紙粘土で立体にしていったそうです。粘土の重なりからできる凹凸によって箸置きの機能は生まれます。中には、箸置きとして機能しづらい文字もありました。その場合はあえて書き順を逆にしてみるなどの工夫を凝らすことで問題を解決しました。
製造工程では施設の作業者さんが作りやすいように、すべての文字の形状と書き順を示した紙のガイドを作成したそうです。
ガイドと紙粘土の試作品を元に、作業者さんは何度も作り直しを重ねました。作業がしやすい粘土の選定や、棒状にする時の太さの微調整、釉薬の選定などを繰り返してようやくHiraganaは完成したのです。
最終的には、表面の質感や温かい色味が【ひらがな】の優しいイメージをベストな状態で表現しています。
洒落っ気で食卓をほっこりさせるアクセントに。
日常使い以外にも、お客さんを呼んだパーティでも活躍しそう。
「Hiraganaを通して食卓がほっこりするような体験をしてほしいです」と小高さんがおっしゃるように、使う文字の組み合わせによって洒落っ気を演出できるところも面白いですね。あげる人に合わせた文字の組み合わせを考えて、ギフトにしても喜ばれるのではないでしょうか。
障害者就労の非常に困難な現状と向き合うequalto
equaltoの運営は、NPO法人ディーセントワーク・ラボとアッシュコンセプト株式会社、アクセンチュア株式会社の3社で行われています。2011年に起こった東日本大震災の復興支援をきっかけに、障害者の方を支援する目的で立ち上がったプロジェクトです。

障害をもった方の就労には大変大きな困難があるそうです。現在、障害のある方は全国に約973万人いて、そのうち約49万人は企業で働いています。一方、企業ではなく福祉施設で働いてお菓子やモノづくりを行う方もいますが、施設の形態によっては最低賃金が適用されないため、1ヵ月の工賃は平均で1.5万円ほどだそうです。

どうすれば障害者就労支援の中で「働き甲斐」をつくりだせるか。equaltoの根幹にあるのはすべての人が平等に、働くことへの意義を見出せる社会の実現です。
equaltoが目指すこと。それは「すべての人が平等で、すべての人の個性が輝くこと。」
本木さんにお話をお伺いするまで私たちは、このような現状をほとんど知りませんでした。
社会の大きな課題に正面から向き合いながら、実直に活動されている本木さん。実は大学時代からNPOやNGOの活動に興味があり、環境NGOで広報誌の執筆に関するボランティアをしていたそうです。環境問題から始まり、その後日本の市町村における農業や過疎化の問題へ取り組むために、大学3年時には1年間休学して北海道で活動されています。そこでは、普段農業と縁のない都市圏の高校生をホームステイという形で受け入れて農業体験サポートや、過疎化が進む町の魅力を住民参加型で形にしていくプロジェクトに従事していたそうです。本木さんの話をしている様子や、その内容から活動的でとてもエネルギッシュな人柄がうかがえました。
equaltoの活動を通して現在本木さんが実現したいこと、それは「すべての人が平等で、すべての人の個性が輝くこと。」
ネガティブになってしまいがちな要素を、どうすれば個性としてプラスに転換できるのか?この壮大で非常に難しい問いに対して一貫した活動をしながら、力強く前進している本木さん。
色々な人との出会いで培われた、多様な価値観を知って受け入れられる感性が、本木さんを通してequaltoに関わる人へ伝播しているように感じました。
equaltoが関わる人の「得意」を融合する。そこにあるデザインの力。
私たちはequaltoの商品を通じて本木さんと出会い、その活動の背景にある障害者就労という社会的な課題を知りました。一見するとすべてがマイナス要素となってしまう問題が、魅力的な商品として世にでるまでに立ちはだかる大きなギャップ。どのようにそのギャップを埋めて、さらにはプラスに転換しているのでしょうか?そこには「デザインの力」が大きくかかわっているのです。
equaltoに参画している障害者就労支援施設は、元々ものづくりをしていました。そして、それぞれの施設に得意分野があります。例えば、木工や革加工、陶器製作やフェルトボールづくりです。しかし施設だけの力では、お客様が対価を払って本当に欲しいと思える商品を開発して流通させることはとても困難だったのです。ここにデザインの力が発揮されています。equaltoの商品の多くは施設の様子や保有設備、得意分野を世の中にオープンにして行うデザインアワードを通して開発されているそうです。デザイナーさんは施設のこと、そこに在籍している方々のことを考え彼らの仕事が最大限活かされる商品を企画するのです。

アイデアを形にすることの難しさ。equaltoだからこそできること。
「障害者の就労という社会的な課題をデザインの力で解決する。」その言葉だけをきくと、
なんとも華麗なイメージあるかもしれません。私たちも本木さんにお話をお伺いするまでは、出来上がった商品とHPに掲載されている言葉だけを見ていましたので、実現する過程の困難さは知りえませんでした。
デザイナーさんや施設の方々は仕事の進め方も違いますし、普段まったく違う環境で生活をしています。当然考え方や視点も違うため、そのギャップを丁寧に埋めていかなくてはいけません。運営母体には双方を理解して懸け橋になりながら商品開発を進めていくことが求められます。
「モノが世の中に溢れている今の時代だからこそ、どうやってお客様に選んでもらうか。」そのことが大変重要であり、難しいことだと本木さんはおっしゃっていました。
equaltoの商品開発では通常のメーカーには無い困難さがあります。例えば試作品を一つ作るにしても、つくることが専門である工場に依頼するようなスピーディさは期待できません。施設ごとに行事のスケジュールは異なりますし、職員さんは他の仕事もたくさん抱えているため、とても時間がかかります。そして工程には手作業も多く、商品アイディアを形にしていく中で、想定外のこともたくさん発生するのです。アイディア段階ではよかった商品企画も、実際作ってみるとうまくいかず、仕様やデザインを変更したことも多々あるそうです。
関わる方々が得意分野を活かしながら、その時々で最善な策を考えていく。このように、多様な立場にあるプロジェクトメンバーが一致団結して、地道に困難を乗り越えて完成していく商品だからこそ、equaltoには他のブランドないオリジナリティがうまれるのではないでしょうか。
ひとつ、ひとつが違うこと。それが個性であり商品の良さになる。
「商品の価値をお客様に認められて、たくさん売れること。」このことが障害者の方が自分らしく働くモチベーションになり、さらに賃金アップへと反映されて就労が持続可能になる。こうおっしゃる本木さんは理想を実現するための現実的な視点を併せ持った方です。
他のメーカーは季節ごとに新商品を発売し、定期的にパッケージをリニューアルするなど、常に新しさを打ち出している。しかし、equaltoでは同じようなことはできない。
このような制約条件の中で、どのように商品に価値をもたせ販売し続けていくか。
プロジェクトが形になってきている今、次のステージへ歩む中での課題だそうです。その答えの一つが「人それぞれの個性=商品の個性」という考え方です。
均一で同じ規格の商品を量産する必要はなく、違いそのものを楽しめる商品をつくっていくこと。具体的には一点ものだったり、歪みが味になる商品だったり。
「みんなそれぞれ凸凹があって、補いあえればよいと思います。」
お話をお伺いする中で本木さんがおっしゃっていた言葉が、商品開発に中にも反映されています。
障害者の就労という社会的な課題に対して、どのような支援をしていくか?
それは作り手の個性とデザインを融合させた「違いを楽しめる商品」をつくること。モノ余りの時代だからこそ求められる商品がありequaltoだからこそうみだせる商品が、今後ますます求められていくのではないでしょうか。
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販売元
canvas
- 作品情報(仕様)
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- 素材:磁器
- サイズ:W25~50×D6~18×H25~50mm
- 品 番:EQ-069
- 製品重量:約4~15g
- 製造施設:NPO法人トータルケアセンター(グレース工房)