作品紹介
日本が誇る伝統工芸「和紙」と照明のコラボレーション。「和紙」を通して感じる柔らかい灯りは、心身ともに私たちを落ち着けてくれます。光は視覚で受け止める以上の、さまざま質感を表現できるのです。そのことを教えてくれる照明【and-on】。
【and-on】は、株式会社ワイ・エス・エムとデザイナーの福嶋さんとの共創でうまれたプロダクトです。プロダクト開発ストーリーをデザイナーの福嶋さんと株式会社ワイ・エス・エムの八島社長におうかがいしてきました。
「和紙」を熟知しているからこそ思う、一番美しく見える姿とは
【and-on】開発の起点。それは、株式会社ワイ・エス・エムが今まで培ってきた技術と、埼玉県産の「和紙」を融合させた照明をつくりだすことでした。福嶋さんは自らの知識や経験をプロダクト開発に投影することで、八島社長の想いを目に見える形にしていったのです。
「和紙」を素材にしたプロダクト開発に7年前から携わっている福嶋さん。全国の「和紙」をリサーチしたこともあり、「和紙」に関する知識は豊富です。実は以前に「和紙」を使用した「照明」を手掛けたことも。「和紙」が関わる様々なプロダクトを見てきたからこそ、「今までない、自分だったらどういうものがつくれるのか」を問う挑戦でした。

世の中には「和紙」活用した様々な形状のプロダクトがあります。そのような中での「照明」を考えた時、「立体」に行きつくのが自然かもしれません。しかし、福嶋さんは「和紙」本来の良さが一番出るのは「平面」だと考えました。それはまさに、日本人なら誰しも身近に感じる「障子」のイメージ。「障子」を通して「光」を見る時、私たちの心にはささやかな安らぎが灯っているのです。
「心を落ち着かせてくれる柔らかな光をプロダクトの形状として表現できないか」という発想を抱いた福嶋さん。そこから「柔らかく見えるもの」を探し求めていたそう。そのような中、福嶋さんが求める「柔らかさ」と結びついたのは意外なものでした。以前訪れていた北欧産陶磁器の展覧会。そこで目にした陶板の輪郭が、表現したい「光」のイメージと重なったのです。
「和紙」から溢れる柔らかい「光」にふさわしい「照明」の形

陶板の輪郭から着想を得た福嶋さんは、そのイメージを「照明」の形状に変換していきました。【and-on】の輪郭には直線部分がありません。しかし、縦でも横でも自立して置けるのです。「和紙」を通してほのかに広がる「光」と、その柔らかなオーバル形状が見事に調和して、まるで「光」そのものがカタチを帯びたよう。
輪郭部分の幅は5㎜刻みで調整していったそう。LEDの光が「和紙」全体へと均一に広がること。そして、安定感を保ちながらも、置いた時の美しい佇まい。数㎜単位の調整を重ねながら形状を見出していく様は、まるで無の空間からカタチを削りだしていくかのようです。
【and-on】は点灯面の「和紙」と輪郭の「金属」に接着部分が見えず、完全に一体化しています。これは「和紙」の内側で光を均一に拡散させている「アクリル板」が、輪郭の「金属」に、寸分の狂いもない精度でぴったりとハマっているから。見た人に感動を与える【and-on】の美しさは、株式会社ワイ・エス・エムが今まで培ってきた板金加工技術があったからこそ実現できたのです。

福嶋さんと八島社長は、【and-on】の以前にも、「照明」を共同開発しています。福嶋さんは、どこまで具体的に伝えれば、現場で製作できるかを、深く理解しているのです。また、八島社長は、デザインにおいての大事なポイントを見抜いています。ものづくりにおけるお互いの信頼あるからこそ、難易度の高い開発プロジェクトをスムーズに進めていけるのです。
福嶋さんは「光を灯していない時にどう見えるか」を大事に照明のデザインをしているそう。【and-on】が光を放った瞬間の感動は、機能を発揮していない時を大切にしているからこそなんですね。
「この照明が日常のコミュニケーションのきっかけになれば」とおっしゃる福嶋さん。「照明」の存在価値は、辺りを照らす機能だけではないのです。その「姿」や「光」は、私たちが日々感じる気持ちの一部になっています。
テクノロジーと伝統工芸を繋いだものづくり。柱になっているのは「地域に根差すこと」
これまで自社の技術とデザインをかけあわせて、世界に誇る素晴らしい照明をうみだしてきた株式会社ワイ・エス・エム。そのプロダクト達は日本の技術企業発として、海外のデザイン賞を獲得してきました。美しい曲線から光が滴る【HOOP】。モノを美しく飾る照明【LIGHTSHELF】。そして、「本」から驚きの光を放つ【NIGHTBOOK】。

これらのプロダクト達に続く【and-on】。光の息吹は、株式会社ワイ・エス・エムが2019年に出展したフランスの展示会から芽生え始めていたのです。
展示会の終わり頃、八島社長の頭の中では既に新たな照明の構想が。株式会社ワイ・エス・エムのものづくりには「地域に根差す」という考えがあります。これまで手掛けてきたプロダクトも、地元埼玉県の企業と協業して開発してきたものばかり。
質の高いものづくりの根底には、いつでもぶれない柱があるのです。そういった中で、次なる照明の開発。そこで八島社長が着想したのは、埼玉県の「伝統工芸」でした。
人と人との共感がものづくりの起点に
八島社長が着想を具現化するために迷わず声をかけた人、それは埼玉県で手漉き和紙の製作を手掛けている谷野さんです。谷野さんは【and-on】の開発におけるもう一人の重要人物。埼玉県の小川町・東秩父村では、8世紀からの歴史がある手漉き和紙が生産されています。谷野さんは、古くから継承されている伝統的技術を守りつつ、使用する原材料をすべて地場のものにこだわっています。
ものづくりを通じて、以前から谷野さんとの親交があった八島社長。谷野さんの人柄や活動、そしてものづくりにおける考え方に深く共感していました。いつか、一緒に何かつくりたい。長年抱き続けた八島社長の想いは【and-on】の開発で叶ったのです。

谷野さんへ八島社長から提案した「和紙」使った照明。谷野さんの「ぜひ、つくろう」という力強い返事で、【and-on】の開発プロジェクトは動き始めました。
谷野さんの工房でみえてきた、「和紙」だからこそできること
「和紙」を主役にした照明【and-on】。開発プロジェクトには、八島社長が長年の信頼を置く、デザイナーの福嶋さんが加わりました。まずは谷野さんの工房を訪問し、「和紙」を知るところから始まったそう。「和紙」が中心にあるからこそ、「和紙」でどのようなことができるのか。プロジェクトメンバーでディスカッション重ねながら、「和紙」への知見を深めていったのです。ただ、工房への訪問は一回だけでした。さすが、ものづくりのプロフェッショナルチーム。

実際に「和紙」の製造工程を観察する中で見えてきた特性。プロダクトの意匠はすべて福嶋さんに任せていたそうですが、八島社長には「和紙」を使うからこそのこだわりがありました。
日本の伝統文化を象徴するような「和紙」だが、「和」のイメージを大切にしながらも、現代のライフスタイルに溶け込む照明にしたい。そして、「和紙」でないと成り立たない「必然性」があること。さらに、「和紙」の美しさを最大限に引き立てる。福嶋さんは、八島社長の考えをしっかりと受け止め、デザインで形にしていきました。
「和紙」を主役にした照明のあるべき姿とは
【and-on】には直線部分がありません。しかも、すべての部分でアールのサイズが異なります。この形状だからこそ、「和紙」を主役にしながらも、特定の時代や文化をあえて感じさせない、不思議な魅力があるのです。まるで、夢の中の世界で見ているよう。

八島社長がイメージしていた照明と、福嶋さんが形にした照明は「昔ながらの日本家屋の縁側で障子から木漏れ日が溢れてくるような光」という表現で一致したのです。
しかし、この形状の実現には高難度の技術が必須、一筋縄ではいきません。今まで手掛けてきた自社プロダクトで、板金加工の技術を蓄積してきたからこそ、妥協無しに完成できました。
「和紙」を美しく魅せている【and-on】の光。照明の面を均一に光らせているからこそ「和紙」が引き立つのです。透けて見える「楮」が、「和紙」の柔らかい質感に触れずとも感じさせてくれます。この表現も、株式会社ワイ・エス・エムの技術だからこそ実現できたのです。
最初の試作から半年かかってようやく形になった【and-on】。最初のお披露目は、フランスで開催される「メゾンドオブジェ」でした。世界各国から、様々なジャンルの素晴らしいプロダクトが集まる展示会。発表前の八島社長は「和紙という日本文化ならではの良さが海外で通じるのか不安だった」そう。しかし蓋を開けてみると、不安は自信へと変わっていったのです。【and-on】をみて、「和紙」を知らない海外の方々からの大きな反響。やはり、人が真に美しいと感じるものごとには、国境も時代も超えた普遍性があるのでしょうか。

灯りが人にもたらすもの。照明にこめられた、普遍的な価値

【and-on】は和室でも洋室でも、どんなインテリアとも馴染みます。両面が光るのは、壁壁面を照らすことにより、間接照明にもなるから。メイン照明を消して、【and-on】だけの灯りで過ごしてください。「和紙」を通して広がる光が、普段見慣れたモノの質感を柔らかくしてくれるのです。いつもの食事やお酒が、なんだか少し美味しく感じるかも。
株式会社ワイ・エス・エムのものづくりには、一貫した柱があります。それは「ものづくりによって、関わる人が豊かに、幸せになること」です。
人類は有史以前から「灯り」に特別な感情を抱いてきました。昼間は太陽の光を心強く想い、夜は焚火を囲ながら身も心も温めあったことでしょう。「灯り」は人にとって無くてならない存在なのです。
それは「電灯」が発明されてからも決して変わらない。普遍性があるように思うと八島社長はおっしゃっています。株式会社ワイ・エス・エムは、照明のもつ「意味」に、しっかり向き合っているのです。
株式会社ワイ・エス・エムの信念が反映された自社プロダクトたち。最近では「自らも手を動かしてつくりたい」と入社してきた若者もいるそう。今まで手掛けてきたプロダクトを起点に、人と人とのネットワークが広がっているのです。谷野さんが参画した【and-on】開発プロジェクトのように、一見業界が違う方々との関わりも増えてきています。
今後、株式会社ワイ・エス・エムのものづくりを中心に、どんな「驚き」のある化学反応がうまれてくるのか、とても楽しみですね。
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販売元
株式会社ワイ・エス・エム
- 作品情報(仕様)
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- 品名:and-on (アンドオン)
- 品番:AO-01G
- カラー:GOLD
- 材質:ステンレス / アクリル / 小川和紙
- サイズ:W350×H300×D35mm
- 重量:約1.0kg(本体のみ)
- 光源:LED
- 消費電力:10.5W
- 付属品:ACアダプタ(AC100~240V)/取扱説明書