























作品紹介

カラフルでポップなプロダクト。「いったいこれは何?」と、注目してしまいますよね。
「かけ心地」から「かき心地」へ。この印象的なフレーズと、つい手にしたくなるパッケージをまとった【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】。
「耳かき」といえば恐らく、持ってないなんて人が存在しないぐらい世の中で一般的なプロダクトです。
そのような「耳かき」の印象を一変させ、「この耳かきだから欲しい」「誰かにこの耳かきをプレゼントしたい」と思わせる魅力を秘めた【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】。
【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】は、株式会社キッソオと有限会社セメントプロデュースデザインとの共創でうまれたプロダクトです。
プロダクト開発ストーリーを有限会社セメントプロデュースデザインの金谷社長と株式会社キッソオの吉川社長におうかがいしてきました。
扱いがとても難しい素材。突破口は自分ゴトから広がる想像世界
思わず手に取りたくなる煌びやかなスタイル。【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】は、メガネの素材としては一般的な「セルロースアセテート」が使われています。
実は【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】の開発は、セルロースアセテートの応用を模索するところから始まったのです。
外観は素敵な素材ですが、実は水に弱く、熱によって反り返ってしまうといった弱点があります。また肌に優しいことから、高価なメガネの素材として使われている分、コストも高いのです。

「いったい、この素材でメガネ以外の何をつくればよいのか」
金谷社長をはじめ、セメントプロデュースデザインのメンバーは頭を悩ませました。社内では様々なアイディアを出していったそう。しかし、どれも条件に合致するものはありません。そうした中で突破口となったのは、金谷社長の提案した「耳かき」でした。この時、素材の弱点を克服しつつ、強みを活かせるのは「耳かき」だけだったのです。当時出張が増えていた金谷社長。ちょうど自身が持ち歩きたいと思える「グルーミンキット」を探していたのですが、どこにもピントくるものが無かったそう。
そして金谷社長のアイディアは、モノとしての「耳かき」に留まりませんでした。実はその時脳内では時空を超えた化学反応が起きていたのです。なんと、イタリア産のセルロースアセテートでつくった耳かきを、あのジローラモが気持ち良さそうに使っているではありあせんか。うん、確かに、画が浮かびますね。
素材を起点に多くの人が引き込まれるようなストーリーを描き出す。セメントプロデュースデザインの手掛けるプロダクトは、目にした人が楽しめるような想像世界を広げてくれるのです。
金谷社長はプロダクト開発において、「自分で使いたいと思えるか」という感覚を大事にしているそう。だからこそ当然、今まで手掛けた数々のプロダクト達は自身で使用しているのです。【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】は、金谷社長の「こういうものが欲しい」という純粋な気持ちからうみだされたのです。

たくさんのコトがモノと結びついて価値になる
高価な素材を使う分、完成した商品がどれぐらいの販売価格になるかは懸念材料。当時販売されていた「耳かき」を調べたところ、最高でも2,000円程だったそう。それが、【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】の開発では、当初から3,000円を超える想定でした。そしてなんと、最終的には4,000円程になってしまったのです。あまりにも他社商品と乖離した価格に、社内でも不安の声が。この段階で開発プロジェクトが頓挫してもおかしくありません。
その状況を打開したのが、【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】といえば思い浮かべる象徴的なパッケージだったのです。この時、またしても化学反応が起きていた金谷社長の脳内。このとっても気になるパッケージの「遊び心」は「教科書に登場する偉人への落書き」がインスピレーションの源泉だったです。突然記憶の彼方からやってきたイメージが混ざり合い、プロダクトに唯一無二の存在感を与えたのでした。

実は、このパッケージ。最初は全く違ったものが想定されていたそう。もしそのままであったなら、【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】が多くの人の手に渡ることは無かったかもしれませんね。
そして、もちろんネームングにもこだわりが。「鯖江」といえば多くに人が「メガネ」を連想するところ、あえて「鯖江」と「耳かき」をセットにしたそう。これは「え、メガネじゃないの!」といった、ツッコミ待ちネームングなのです。いたるところにユーザーが楽しめる要素満載ですね。また、技術的な課題の克服においては、キッソウが持つメガネ製造の関する知見が存分に活かされているのです。
このように、【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】開発では、様々なきっかけが有機的に関係しながら、ひとつの完成形へと向かっていきました。しかし、当時から多数の取引先小売店があったセメントプロデュースデザインでも、【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】が世の中にどういう反応で迎えられるかは未知数だったそう。
これだけモノが溢れる中で、どんなモノなら必要とされるのか
反応が予想できない中での展示会。しかし蓋を開けてみれば、大盛況。不思議なことに、【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】って自然と誰かに話したくなるのです。
もちろん【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】は、とっても使いやすい「耳かき」の機能を持っています。ただ、それ以上に「所有している喜び」を感じさせてくれるのです。それは、もっていると自分らしさ感じられて、自身の一部になってくれるということではないでしょうか。
昨今ひとつのトレンドとして、モノを所有しなくなってきていますね。なんだか「欲しいものが最近ない」なんて声も。それは、なに不自由なく満たされた中、魅力を感じるモノに出会うこと自体が難しいからなのかもしれません。【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】のように、人の気持ちにまで作用してくるプロダクトって稀な気がします。
どこの家にも必ず一つはある「耳かき」に、「欲しい」と思える価値を宿した【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】。このプロダクト開発をきっかけに、キッソオはとっても元気なったそう。なんと、売上に5年で12倍。
多くの人の出会いを創り、開発に関わった人や購入した人に、長年に渡って良い作用をもたらし続ける【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】。このようなプロダクトを世に出し続けること。それが金谷社長はじめセメントプロデュースデザインのものづくりなのです。

産地全体が危機に。長年扱ってきたものが助けになる
「メガネ」といえば「鯖江」というように、今や「日本一のメガネ産地」として多くの人に知られる福井県鯖江市。毎年、国内外からたくさんの「ものづくりファン」が訪れています。しかしそこに至るには、産地の存亡をかけた、10年以上に渡る地道な取り組みがあったのです。
メガネ産地である鯖江市では、各社がメガネの製造から販売の一部分を専門的に担う分業体制になっています。昔から地域が一つの工場のように協力し合い、産地を支えてきました。しかし昨今では、製造コストが低い海外勢の台頭で、鯖江のメガネ産業は右肩下がりになっていたそう。そこへリーマンショックによる不況が追い打ちをかけたのでした。
そのような状況は、キッソオにも直撃。メガネの材料を専門に扱っていたキッソオでは、売上が一気に半分程になってしまいました。今までやっていきたことにとらわれず、何か早急に新しいことを始めなければ生き残れない状況。この危機を脱するべく、吉川社長は模索しました。そこで、眼鏡工業組合が主催していた「ものづくり」に関する勉強会で得た知識と経験で、自社商品をつくることを決意。当時は、産地全体でこのような動きがあったそうです。

しかし、材料を扱っている自分達がメガネをつくっては、産地が協力して築き上げてきた分業体制を壊してしまいます。自分達を育んできた産地の仕組みを維持しながら、何を新たにつくりだせるのか。吉川社長は悩みました。こうして、自分達がもっとも熟知しているメガネの材料に着目したのです。
メガネの材料でつくりだせる新たな価値とは?

メガネには様々な種類があります。もちろん使われている材料も多種多様。そこで吉川社長が注目したのは「セルロースアセテート」という素材でした。この素材はバラエティに富んだ模様や色合いが楽しめる、加工もしやすく、応用範囲が広いのです。
しかし高価なので、付加価値が出せるプロダクトにしか使えません。そのため「視力を補助する」という確かな機能を持ったメガネにはうってつけ。ただ、メガネ以外にセルロースアセテートでいったい何をつくるべきか。吉川社長は、考えを巡らせていく中で、「ファッション」という価値を、感性へ訴えかける「アクセサリー」に活路を見出したのです。

まだ経験の浅い自社商品開発でしたが、何とか形にして販売までこぎ着けたそう。しかし当時開発に関わっていたのは、メガネ材料の販売も手掛けている50代~60代の男性社員のみ。吉川社長は、女性の感性に響くアクセサリーを継続して開発していくことに限界を感じていたのです。
それでも自社商品に希望を託し、なんとか事業を立て直していこうと暗中模索。そういった中での展示会で、セメントプロデュースデザインと出会い、キッソオに転機が訪れました。
苦境でも貫いた攻めの姿勢が飛躍のきっかけに
展示会での出会いから、キッソオとセメントプロデュースデザインの共同商品開発がはじまりました。これまでアクセサリーの開発に力を入れてきた吉川社長。当然、自社のアクセサリーブランドをブラッシュアップしていくつもりでした。しかし、セメントプロデュースデザインからの提案はアクセサリーではなく、雑貨だったのです。
自社商品の開発がやっと形になってきたところから、さらなるチャレンジ。普通なら息切れして躊躇してしまいそうなところ。しかし、吉川社長は「ノー」と言いませんでした。
迷うことなく、アクセサリーと雑貨の両方に取り組んでいくと決めたのです。
こうして、苦しい時だからこそ前向きに前進していく、キッソオの姿は、産地全体の励みになっていったのでした。メガネの産地から発展した、鯖江の「今」を象徴するようなプロダクトである【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】。うみだされるきっかけは、どんな時でも希望を持って前を向く気持ちだったのです。
鯖江のものづくりが凝縮した「耳かき」誕生
【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】の特性は、なんといってもカラフルでポップな素材です。アクセサリー同様にセルロースアセテートが使われています。しかし【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】の素材は、日本ではあまり使われていません。キッソオは、長年に渡ってメガネの材料を専門に扱ってきました。そのため、どんなニッチな材料にもネットワークがあるのです。
メガネに使うには、ちょっと躊躇してしまうようなきらびやかな素材。しかし「耳かき」に応用すると、たちまち付加価値になってしまう。これは、キッソオがメガネの材料を熟知していたからこそうまれた発想なのです。

【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】には、メガネ製造の技術が凝縮しています。セルロースアセテートをメガネのテンプルにつかう場合、単体だと強度が足りないため、中に芯を入れるのです。【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】では、医療機器にも使われているチタン合金を採用。丈夫で安全、そして程よいバネ性もあり、耳かきにはうってつけなのです。ところで、このセルロースアセテートにチタン合金の芯を通す工程。実はここに「シューティング」といって、メガネ製造で使われている特殊な技術使われているのです。まさに【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】は、鯖江のものづくりを象徴するプロダクトといってよいでしょう。

人と人の関わりが織りなす魅力的なものづくり
【sabae mimikaki (鯖江耳かき)】の製造では、産地が協力して築き上げてきた分業体制を守っています。吉川社長は、自社商品の開発から販売で、産地全体が潤うことがなにより大事だとおっしゃっています。その想いの源は、キッソオがこれまで歩んできた道のりにあるのではないでしょうか。キッソオのプロダクトは、産地内外の様々人との関わりの中でうまれ、磨き上げられているのです。そして人から人へと良さが伝わり、時間をかけて広がっています。

たくさんの魅力的な企業や人が、ものづくりの生態系を形成している鯖江。この地から発信されるプロジェクトは、いつでも多くのものづくりファンをワクワクさせてくれるのです。
決済・返品について
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※同じ素材でも、切り出し位置によって一点一点模様が異なります。
※全て職人の手づくりのため、ひとつひとつ大きさに若干の違いがございます。
※天然素材を使用した商品のため、色合い、手触りなどに個体差がございます。
それぞれの商品の個性をお楽しみください。
返品について
初期不良の場合、7日以内にご連絡ください。返品交換致します。
販売元
株式会社キッソオ
- 作品情報(仕様)
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- 品名:sabae mimikaki (鯖江耳かき)
- カラー:マットブルー/ディープブルー/クリアピンク/ホワイトマーブル/ホーンイエロー/ブラックラデン/マリンブルー/マルチブロック/ビビットレッド/セピアブロック
- 材質:セルロースアセテート(綿花由来樹脂 イタリア産)/先端:βチタン
- サイズ:横145mm×縦10mm×厚み4mm 先端の金属部:長さ12mm
- 重量:3g